傷口に対する湿潤療法とは

 

前回、リハビリテーションについてお伝えさせて頂きました。今回は自宅現場で遭遇もしくは相談を受けることがある傷口に対する対処療法についてお伝えします。看護師さんの分野ですが、訪問看護師が導入されていないケースもあると思いますので、知識の一助となり、連携が取りやすくなれば幸いです。

 

〈傷口に消毒薬を使ってはいけない〉

 転倒して膝を擦りむいた場合、昔から傷口に消毒液→ガーゼを当てる→絆創膏で留める。この方法は間違いのようであり、「消毒をしない」「乾かさない」を原則とする湿潤療法が最新の治療方法です。

*消毒するとばい菌以外に人体細胞の菌も殺してしまい、消毒すればする程、化膿しやすくなります。処置する前に水道水でしっかりと洗います。

 

 

〈傷は乾燥させると治りが遅くなる〉

 傷口を乾かすとかさぶたになります。かさぶたは組織が死んだものであり、生き返ることはありません。かさぶたを作らないことが早く治す為の正しい方法になります。湿潤療法を実践する為には、専用の絆創膏を貼るか、食品包装用ラップに白色ワセリンを塗ったものを患部に付けておきます。

*指先を切ったとき、傷口を舐めたり、指をくわえておくと痛みが治まるのは、傷を乾燥させる、空気に触れることが良くない証拠であると言えます。

 

〈傷口はヌルヌルさせておくのが正しい治療法〉

 湿潤療法を行うと、傷口からジュクジュクと浸出液が出てきます。この浸出液は細胞成長因子と呼ばれる物で、細胞を増やし、細胞の機能を活性化する役目があり、傷が治るのに必要な細胞が生み出されています。通常は1日1回(夏場なら2~3回)、傷の周辺を洗い、同様の方法でラップ交換を行います。

湿潤療法は”消毒をしない” ”乾かさない”が原則です。感染がみられる傷(傷の周囲が赤くなっていたり、膿をもっていたり、熱や腫れなど)や感染を起こす可能性がある傷(深い刺し傷、動物に噛まれた傷)は受信を強く勧めます。受信するか迷われる場合、処置の方法が合っているかなど訪問看護師に相談頂けたらと思われます。キラットでは訪問看護師による訪問を積極的に行っています。些細なことでもご相談いただけたら、対応させて頂きます。